公衆送信権等とは?

しょみ
著作権は色々な権利の集合体になっていますが、その中から今回は公衆送信権を紹介します。
まずは条文です。
(公衆送信権等)
著作権法第23条
- 著作者は、その著作物について、公衆送信(自動公衆送信の場合にあつては、送信可能化を含む。)を行う権利を専有する。
- 著作者は、公衆送信されるその著作物を受信装置を用いて公に伝達する権利を専有する。
条文の解説
公衆送信権等とは、
著作者がその著作物を公衆送信したり公に伝達する権利を専有する。
=他人が著作者に無断で公衆送信等することをとめることができる権利です。

岩崎
公衆送信や公衆に視聴させる権利は、著作権者にしか無いという事です。

しょみ
公衆送信と公の伝達があるのですね。
公衆送信とは
公衆送信は、放送やインターネット等で著作物を送信することをいい、公衆向けであれば有線・無線・送信方法を問わず対象となります。
放送・有線放送
テレビ放送等の放送電波を受信して、チューナーでチャンネルを合わせることで著作物を視聴することができる送信形態で、有線放送の場合はケーブルテレビや有線の音楽放送が該当します。

岩崎
最初のイラストのようなシステムです。

しょみ
ブラウン管って。
自動公衆送信
受信者がアクセスし、サーバーから自動で著作物が送信される形態で、インターネットがこれに該当し、サーバーにデータをアップロードする行為も自動公衆送信に含まれます。

岩崎
アップロードしてサーバーに保存し、自動送信可能な状態に置くことを送信可能化といいます。

しょみ
無断でアップロードした時点で権利侵害なのですね。
その他公衆送信
あらゆる送信形態が対象となりますので、上記の他メールやFAXを手動で送信する場合であっても、公衆からの依頼に基づいて不特定の人や多くの人に送信する場合は、公衆送信に含まれます。

岩崎
不特定多数、不特定少数、特定多数は公衆です。

しょみ
という事はメールやLINEで家族に送るのは?
公衆送信の定義

岩崎
公衆送信は以下のように定義されています。
(定義)
著作権法第2条1項七の二
公衆送信 公衆によつて直接受信されることを目的として無線通信又は有線電気通信の送信(電気通信設備で、その一の部分の設置の場所が他の部分の設置の場所と同一の構内(その構内が二以上の者の占有に属している場合には、同一の者の占有に属する区域内)にあるものによる送信(プログラムの著作物の送信を除く。)を除く。)を行うことをいう。
となり、公衆でない場合や間接的に受信されることは公衆送信の定義に含んでいないため、家族やそれに準ずる範囲の人達は公衆とはいえず、これらの人にメールやLINEで著作物を送信することは、公衆送信に含まれません。
- 家族…公衆ではない
- 親友…多数になれば公衆
- クラスメイト…公衆になり得る

例えばごく親しい間柄の友人グループの場合は、特定の人でも多数となれば公衆送信となり、クラスメイトのLINEグループでは、不特定とも多数とも考えられ、公衆送信となり得ます。

しょみ
LINEのアイコンに著作物を使うのはどうですか?

岩崎
誰でも見られるものは公衆送信です。
公の伝達とは
例えば放送されている著作物をテレビで公に視聴させるなど、公衆送信された著作物を受信機を通して公に見せ、聞かせる行為が対象となりますので、上記のように公衆送信されたものを公に視聴させる時は、著作権者の許可を得る必要があります。


しょみ
放送を録画して見せるのは上映権です。

岩崎
家庭用のテレビで見せる場合は承諾なく利用できる、という例外規定もありますが、別途扱います。

しょみ
昔ながらの喫茶店で見かけるような光景ですね。
