私的使用のための複製
概要と条文
著作物を私的使用の目的で複製する時は、著作権者の権利が制限されます。
著作権者が使用をとめる権利が制限される=著作権者の承諾無しに著作物を使用できます。
条文が長いため()内を省略します。
(私的使用のための複製)
著作権法第30条1項
著作権の目的となつている著作物(…)は、個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用すること(…)を目的とするときは、次に掲げる場合を除き、その使用する者が複製することができる。
- 一 公衆の使用に供することを目的として設置されている自動複製機器(…)を用いて複製する場合
- 二 技術的保護手段の回避(…(…)…(…)…)により可能となり、又はその結果に障害が生じないようになつた複製を、その事実を知りながら行う場合
- 三 著作権を侵害する自動公衆送信(…)を受信して行うデジタル方式の録音又は録画(…)を、特定侵害録音録画であることを知りながら行う場合
- 四 著作権(…(…)…)を侵害する自動公衆送信(…)を受信して行うデジタル方式の複製(…)(…)を、特定侵害複製であることを知りながら行う場合(…)
条文の解説
私的使用の例
家庭内やそれに準ずる範囲で使用するために著作物の複製を行う場合は、その著作物を使用する人が自ら複製する場合には、著作権者の承諾を必要としません。
たとえば、インターネット上の写真を印刷して室内に飾る、自分の学習のために書籍や問題集をコピー、楽曲のダビング、テレビ番組の録画などを行う等が該当します。
私的使用でも違法となる例
- 一号 公衆向けに設置された自動複製機器での複製
- 二号 コピーガード等を解除し、それを知りながらダビングすること
- 三号 著作権侵害の録音録画物を、違法な物と知ってする録音録画
- 四号 違法アップロードである事を知ってするダウンロード
私的使用とならない例
範囲が家庭内…準ずるなので、私的な備忘録だからといってブログやSNSにアップロードすることや、私的に使用するからといって映画館で映画を録画することはできません。
また私的使用なので、たとえ内部利用であっても企業や団体は対象外となり、自分だけが使う資料でも、仕事であれば私的使用目的とはいえません。
企業でも利用できる例外規定
複製できる人・場所
使用者は自ら複製する必要があり、私的使用目的だからといって業者に複製を頼むことはできず、一号の公衆に設置された自動複製機器で複製することもできません。(コンビニ等のコピー機で文献をコピーすることは可能)
なお「自ら」には、使用者本人を補助する家庭内やそれに準ずる範囲の人も含まれます。

不注意で知らなかった時
著作権法第30条2項
前項第三号及び第四号の規定は、特定侵害録音録画又は特定侵害複製であることを重大な過失により知らないで行う場合を含むものと解釈してはならない。
30条2項では、上記三、四号について重大な過失で知らなかったものを含まないとしています。
違法にアップロードされたものを、知らずにダウンロードした場合は、(たとえ少し考えれば分かりそうな事でも)知っていたものとは区別され、知らなかったものとして扱われます。
