新年の賀詞交歓会で
テレビでよく見る有名人登場
前回のコラムに引き続き、行政書士会の賀詞交歓会に参加した話です。
賀詞交歓会のように大きな会になりますと、政治家や著名な方も大変多くいらっしゃいますが、今回はある超有名な方と少しばかりお話しをする機会があり、スタッフの方に写真まで撮っていただきました。

岩崎
そんな事もあり、今回は有名人のパブリシティ権について、肖像権に触れつつご紹介します。

ぎょうこ
超有名人って?
肖像権・パブリシティ権とは
肖像権・パブリシティ権は、法令上の明文化されたものはなく、過去裁判で認められてきた権利で、人の氏名、肖像等は、個人の人格の象徴であり、これをみだりに利用されない権利とされています。
パブリシティ権とは
詳細が示された裁判例
パブリシティ権については、ある歌手が自分の写真を勝手に使われたと出版社を訴えた裁判の判決で初めてその要旨や侵害の基準が示されました。
- 肖像等は、商品の販売等を促進する顧客吸引力を有する場合があり、このような顧客吸引力を排他的に利用する権利は、肖像等それ自体の商業的価値に基づくものである…
- 肖像等に顧客吸引力を有する者は、社会の耳目を集めるなどして、その肖像等を時事報道、論説、創作物等に使用されることもあるのであって、その使用を正当な表現行為等として受忍すべき場合もある…
結果的にこの裁判では、
- 記事は歌手自体の紹介ではなく、流行したダイエット法の紹介である事。
- 写真が全体の内3ページのみで、いずれも白黒写真でサイズも小さい事。
- 記事の内容に付随して補足する目的で使用されたものである事。
を理由に出版社が写真を無断で掲載した行為は、専ら歌手の肖像が持つ顧客吸引力の利用を目的としたものとはいえないとし、歌手の側の敗訴が確定しました。

岩崎
その写真は、同出版社の過去の企画で出版社側のカメラマンが撮影したものだそうです。

ぎょうこ
写真の著作権はあるのね。
パブリシティ権の要旨
パブリシティ権は、肖像等の本人が、商品の販売等を促進する顧客吸引力を排他的に利用する権利ですが、有名人側は有名人であるが故に、時事報道、論説、創作物等に使用される事を、正当な表現行為として認めなければならない場合もあるとされています。

岩崎
顧客を集める名前や顔の力は、その有名人だけが使用できるという事です。

ぎょうこ
または契約している芸能事務所などの権利者ね。
パブリシティ権侵害の基準
以上の趣旨から、以下の三つの類型が例示されており、専ら肖像等の有する顧客吸引力の利用を目的とするといえる場合、パブリシティ権侵害となります。
- 肖像等それ自体を独立して鑑賞の対象となる商品等として使用
- 商品等の差別化を図る目的で肖像等を商品等に付す
- 肖像等を商品等の広告として使用


岩崎
他人が勝手にSTARさんの顔や名前を使って商売するのはおかしいですからね。

ぎょうこ
ただし売上に繋がるとしても報道などに使われる事は制限できないのね。
肖像権との違い
肖像権
正当な理由無く人の容貌等を撮影(イラスト含む)したり公表したりすることは、その態様によっては肖像権侵害となり、相手方の精神的な損害に対し、賠償責任を負うことになり得る。
パブリシティ権
無断で著名人の顔や名前を商売の目的として使用したり、宣伝活動に使用したりすることは、パブリシティ権侵害となり、相手方の経済的な損害に対し、賠償責任を負うことになり得る。

岩崎
有名人は自分の顔や名前を使われる事を相当我慢しなければいけないんですね。

ぎょうこ
ただし誹謗中傷などの行為まで我慢する必要はないのね。
